「芝浜革財布」寺島しのぶさん出演で話題!見どころと誕生の歴史を解説

演目

2025年12月、歌舞伎座で公演される「芝浜革財布」は女優の寺島しのぶさんが出演することでも話題です。
寺島さんは2023年の「文七元結ぶんしちもっとい物語」で中村獅童さんと夫婦役で歌舞伎興行に出演しており、今回の「芝浜革財布しばはまのかわざいふ」は獅童さんとの2年ぶりの夫婦役共演かつ歌舞伎座出演となります。この記事では「芝浜革財布」の歴史や見どころ、寺島しのぶさんの歌舞伎出演から振り返る歌舞伎の歴史について初心者の方にもわかりやすく解説します。

歌舞伎「芝浜革財布」の登場人物

歌舞伎「芝浜革財布」の主な登場人物は以下です。

歌舞伎「芝浜革財布」のあらすじ

政五郎まさごろうの仕事は棒手振ぼうてふり(商品を棒に吊るして売り歩く人)の魚屋ですが、酒ばかり飲んであまり働きません。今日は妻おたつに早く起こされたので、芝の魚市場が始まるよりだいぶ前に着いてしまいました。

退屈しながら待っていたところ足に何かがひっかかり、見ると大金の入った革財布でした。驚いた政五郎は革財布を拾い自宅に帰り、これで働かなくでも暮らせると思い友人を呼んで飲み会を始めました。

妻おたつは「これでは夫のためにならない」と思い、政五郎達が酔っている間に近所の番所に革財布を届けました。酔いが醒めた政五郎におたつは「財布なんてないよ」と言い張り、お金もないのに酔いつぶれて大失敗をしたと思った政五郎は深く反省しました。

勤勉に働き三年後、自分の店を持つまでに成長した政五郎におたつは打ち明けます。「あの時革財布はあったのだけど、あなたのためだと思って番所ばんしょに届けました。持ち主は現れなかったので、実は昨年手元に戻っていたのですよ」と革財布を見せます。
おたつの思いに政五郎は深く感謝し、革財布のお金は火事で家を失った人たちへ全額寄付することになり幕となります。

歌舞伎「芝浜革財布」は落語を元に生まれた

芝浜革財布しばはまのかわざいふ」は幕末から明治にかけて活躍した三遊亭圓朝さんゆうていえんちょうによる落語として誕生しました。”三題噺さんだいばやし”という人・場所・物品について観客からあげられたお題をもとに即興で落語に仕立てる形式があり「芝浜革財布」もその形式で生み出されたものが原形とされています。
落語では「芝浜」という名で今も親しまれています。

上記の作品が1922年に二世竹柴金作たけしばきんさく(「籠鶴瓶花街酔醒かごつるべさとのえいざめ」「弁天娘女男白浪べんてんむすめめおのしらなみ」など数々の名作を生んだ三世河竹黙阿弥かわたけもくあみの婿養子)によって脚色され歌舞伎化され「芝浜革財布」となりました。1600年代に生まれた歌舞伎狂言や舞踊が今も公演されていることを考えると、わりと最近にできたた演目と言えます。

落語「芝浜」と歌舞伎「芝浜革財布」の違い

落語「芝浜」は落語家の解釈や個性により味わいが異なるものの、政五郎まさごろうが友人を呼んで飲み会を開く場面は簡潔に表現することが多いようです。
歌舞伎「芝浜革財布しばはまのかわざいふ」では政五郎の自宅に友人が何人も集まり飲み明かす様がわりと濃密なため、「おたつが辛そう」と思うかたも多いかもしれません。その反動もあって最後の政五郎の成長が感動を呼ぶ構成にしたのかもしれない、と以前鑑賞した際に筆者は思いました。
それぞれに費用はかかりますが、今回の「芝浜」と「芝浜革財布」のようにルーツを共有している作品を見比べることは、学びも多いと思いますので今後もできるだけ経験していきたいものだと思います。

寺島しのぶさんから考える歌舞伎と女優の歴史をすっきり解説

寺島しのぶさんは日本を代表する俳優の一人であり、七代目尾上菊五郎さんの長女でもあります。歌舞伎の家に生まれながら女性であるため歌舞伎俳優になりたくてもなれなかったといいます。
寺島さんと中村獅童さんは幼馴染であり、獅童さんは寺島さんの悔しさを理解する人物の一人です。2023年の「文七元結ぶんしちもっとい物語」への寺島さん出演は獅童さんが発案し、演出をつとめる山田洋次監督も了承したため実現したものでした。

これまで歌舞伎座の歌舞伎興行には初代水谷八重子さん、山田五十鈴さん、鈴木光枝さんが出演しています。「文七元結」にはお久という娘が登場しますが、お久役として波野久里子さんが13才・22才の計2回出演することもありました。このように女性が歌舞伎座の歌舞伎興行に出演した実績はあるのですが、野郎歌舞伎(成人男性のみで演じる歌舞伎)になって以後約370年の歴史を思うとそれぞれが貴重な実績であることがわかります。

加えて歌舞伎座は歌舞伎界最高峰の劇場ですので、2023年「文七元結物語」以来の二度目となる「芝浜革財布」への寺島さんの出演は歴史に新たな1ページを刻むこととなります。ぜひ、盛り上がる公演になること一人の歌舞伎ファンとして願っています。

松竹創業百三十周年十二月大歌舞伎「芝浜革財布」のチケット購入方法

11月14日(金)より販売を開始していますので、現在はチケットWEB松竹より24時間購入可能です。

チケットWEB松竹で希望日の公演が完売の場合も、歌舞伎座の当日券売り場に朝9時30分頃から並ぶと当日券で見られる場合も多いです。4階席となり花道はあまり見えませんが本舞台はしっかり見えますので問題なく鑑賞を楽しめます。

まとめ

・「芝浜革財布しばはまのかわざいふ」は落語として誕生し、1922年に二世竹柴金作たけしばきんさくにより脚色されて歌舞伎化した。

・「芝浜革財布」は酒ばかり飲みあまり働かない魚屋政五郎まさごろうが魚市場で財布を拾ったことから始まる。予期せぬ大金が舞い込み浮かれる政五郎の性根を入れ替えさせるため「そんな財布はない」と言い張った妻おたつのおかげで政五郎は反省し、自分の店を構えるまでに成長するという良妻の奮闘ストーリーである。

・2025年12月の歌舞伎座で「芝浜革財布」が公演されるがおたつ役で寺島しのぶさんが出演する。歌舞伎座は歌舞伎界最高峰の劇場であるため、2023年「文七元結物語」に継ぐ二度目の歌舞伎座出演は歴史に名を刻む偉業である。

歌舞伎「芝浜革財布」は人情物のお話であり、政五郎の成長ぶりや妻おたつの賢さ・辛抱強さが最後に観客を感動させる作品です。興味のある方は是非見に行ってみてください。

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